2005年右乳房全摘、局所再発・多発肝転移・多発骨転移・胸膜播種転移治療日記。

<< May 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

精一杯な日々
 


自宅を出て6日目。


慣れない土地でのホテル生活も限界かもしれない。



息子は国公立大学入試前期日程のため一人試験会場へ向かった。
私大の入試日程と試験日が近かったため、自宅へ戻ることなくそのまま滞在する選択をした。
息子と二人だけで過ごした数日間。
いろいろあったけれど、母親の自己満足に付き合ってくれてありがとう・・・。
「楽しんで来いよ」
と送り出してくれた夫に感謝している。

反面、もう今日は自宅へ帰れるんだと思うと嬉しい。
ちょっと疲れてきた。
日常生活では車を使っての移動がほとんどで、公共交通機関を利用する生活は歩くことが多く予想以上に疲れてしまう。
買い物をした荷物も全て自分の手で持ち歩かなければならない。
腰の辺りが痺れるように時々痛むと、骨転移の悪化が原因なのかもれない・・と気を病む。

SSM治験登録のため日本医科大学病院へ行った日、付き添ってくれた娘が言う。
「もうすでに一万歩も歩いてるよ!」
サクサクと歩けないひよこにゆっくりと歩調を合わせてくれた彼女も驚いていた。
さすがにある日突然の一万歩歩きはちょっと辛かった。
昨日は不動産屋のはしご。
片付けなければならない問題が山積みの春。
体調を崩すことのないように一日を終えることで精一杯な日々。




お金も体も・・ちょっと忙し過ぎる。      (・e ・)



年女
 


今年は「卯」年


つまりひよこは年女



同い年の友人からの年賀状に
「今年は年女ですね・・・」
なんて書かれていて改めて自分の年に気がついた。
40歳を過ぎてから自分が何歳であるのかよくわからなくなりつつある。
年齢を書き込む際ふっと手が止まる。
西暦から1963を引いて・・納得する場面もしばしば。
どうでもいいような場合はもう数えることもなく適当になっている最近。



今日1月3日、感動の箱根駅伝が終わった。
たすきを繋ぎ終えると同時に力尽き倒れこむ選手たち。
もうこれ以上は走れないと言うくらい持てる力をふり絞って走る。
たぶん命懸けで走っているんじゃないだろうか。
最後は死んでもかまわない・・・くらいな気持ちで。

進行乳がんを生きるひよこも命懸けで闘病している。
苦しく辛い時は彼らの姿を思い出して・・死ぬ気になれば副作用なんてたいしたことじゃない。
ゴールの見えない治療だけれど、ゴールがあると信じて今を生きる。


明日から始まる2011年の治療。
ぴょんぴょんは無理でも、ぴょん・・ぴょん・・くらいには跳ねられるように、年女らしくプチ軽やかに「卯」年をスタートさせたい。      
  


                                 友人からの年賀状



「辰」まで命のたすきを繋ぐために。    (・e・)



顔晴れない
 


一年で昼間の時間が最も短かった昨日は「冬至」


ひよこ的には、長い長い一日だった。



最近、何をするでもなく一日がとても長く感じる。
造影CT検査の憂鬱・腫瘍マーカーの動きの憂鬱・TC治療の副作用の重だるさ・・・などなどで、すべてのことにやる気がおこらない。
冬至の昨日も南瓜も食べなかったし柚子湯の支度もしなかった。
昔から良いといわれている習慣はなるべく意識して暮らしてきたけれど、闘病するようになって少しずついろんなことを省略してしまっている。
ささやかな行事はもちろんのこと、年の瀬せまった今・・クリスマスもお正月も正直どうでもいい。
少し罪悪感を感じながらも『もう子どもたちも大きくなったし・・今までよくやったよ』と怠慢な自分を肯定する気持ちが今の自分を支えている。
ていねいに今を生きることに疲れる時もある。

腫瘍マーカーが上昇傾向にあった昨年の今頃のことを思えば、一年後の今はマーカーも下降傾向にある治療成績に喜ぶべきなのに気持ちが晴れない。
顔晴れない。



               



検査前の憂鬱ならいいんだけど・・・なんだかなぁ。          (・e・)


乳がんに感謝
 


通院の帰り道、図書館へ寄った。


これといった目的も無く・・






抗がん剤投与から約10日・・せっかく外出できるようになったのだからと欲張って冬空の下を少し歩いてみた。
平日の昼間・・こんな風にゆっくりと時間をつかってぶらりと歩いていると何だかとても贅沢をしているような気がした。
そしてこんな時間を大切にしたいとも思った。
時間を気にすることなくのんびり歩くと、今まで見えなかった・・見ていなかったものが見えてくる。
それは木漏れ日に輝く一枚の木の葉だったり足元に散るやわらかな花びらだったり・・・。
いかにも自然に癒されている自分に気づく。





余命を意識し始めて初めて知るあるがままの自然の美しさ。
いつの日かひよこも自然に還る日が来る。
その日のために大切な「今」を積み重ねていきたい。



そんな生き方を教えてくれた乳がんにはやっぱり感謝かな。    (・e・)



普通の母
 


夜からは雨という予報通り急に曇ってきた。


グレーの厚い雲が空一面を覆っている。


昨日にも増して暖かかった今日、カメラを持って出かけてきた。
屋外は部屋の中に居るよりも暖かいくらいの気温で、歩き続けていると汗ばんでくるほどだった。
一人で、自分のペースで、歩く。
話す相手はいないけど、その分思考は視覚に集中できる。

平日の公園は人も少なく寂しげでちょっと興ざめな雰囲気もあるけれど、クリスマスムード漂うあちこちは見ているだけでも楽しい。
ご年配の叔母さまたちよりも歩くペースが遅いひよこ。
一生懸命に歩いているつもりでも彼女たちに余裕で追い越されてしまう。

でもそんなことはどうでもいい。
来週の投与の日まで、少しは体調のいい身体を屋外で楽しみたい。
普通の女性がするように闘病中でも日々の暮らしを楽しみたい。

今朝、息子の受験のための宿泊ホテルを予約した。
「寝坊しちゃうといけないからお母さんも一緒に泊まってくれるとありがたい」
と彼が言う。
思いがけない発言に正直うれしかった。
娘にもしてきたように・・彼にも同じことを母親としてしてやりたい。
というよりこの目で見届けたい。
高校3年間、卒業する日までお弁当を持たせてやれるだろうか・・と自分の体調を案じた日もあった。
大学入学の日に生きていられるだろうか・・と不安だった3年前。
今、子供たちの成長が楽しみで辛い延命治療も乗り越えられている。







普通の母親のように・・自分にできる事を楽しみたい。   (・e・)



自分だけが辛いんじゃない



今朝、あるサイトをみた。


そのサイトは語りかけるような写真で溢れていた。



何ページもクリックしてるうちにやっぱり私は『写真が好き』なんだと気づいた。
こんな写真が撮りたい!と思った。
窓の外は朝日がキラキラと眩しく家の中にいるのがもったいないような良い天気。
気圧が安定している最近は体調も少しはいい。
 




洗濯物だけ干して、カメラを持って、出かけた。
自宅でゴロゴロしてたって副作用がなくなるわけじゃない。
辛い副作用よりも楽しいことを見つければ良い。
それは・・写真かもしれない。
シャッターを切っている瞬間は副作用なんて感じない。





明日は写真じゃないかもしれない。
心が感じるままに身体を寄り添わせる。
今楽しいと思う気持ちが大事で
心のままに生きていけばいい。





乳がんに罹患して乳房を失い、抗がん剤で髪を失い、卵巣機能も抑制され、女性らしさなんて少しもないけれど、心は失っていない。
一日でも遠い未来を自分らしく生きるために辛い副作用ともうまく共存していこうと思う。






辛いのは・・ひよこだけじゃないから。        (・e・)


残酷
 



TVの国会中継を観て、一日過ごす。



夕暮れ時になると、ああ・・今日も何もできなかったな・・と過ぎた時間を想う。




                ベランダから見える西の空



今、自分は何をしたいんだろう?
何が出来るんだろう?


「がん再発」は・・やっぱり残酷。      (・e・)







<2008.9>

入院希望であることを伝えたその日の担当医は「気のせいじゃないですか」と言った医師だった。

「僕が主治医でいいですか?」
イヤとも言えず形だけの主治医だから・・と思い了解した。

病室に案内された。
4人部屋には形成外科の女性が二人・小児科の小学生男児が一人入院していた。
簡単な挨拶をしてベッド回りを整えた。
外科の患者であることだけオープンにして、廊下のネームプレートは空欄にしてもらった。


その日から毎日放射線治療が始まった。
治療といっても午前中に放射線科からの連絡を待って、ナースが迎えに来てくれて一緒にリニアック室まで歩いていく。
着替えて・・照射して・・着替えて・・10分もあれば終わる。
するとまたナースが迎えに来てくれて病室まで戻る。
主治医からは「外泊も外出も自由にしてもらっていいですから」と言われていた。

その10分間の治療以外にするべきことは何もなく、読書三昧の日が過ごせると思っていた。

スペースを仕切るカーテンが暗くて鬱陶しいと思いそのカーテンを開け放った。
そしたら向かいの同年代の女性もカーテンを開け・・話が弾んだ。
そのうち他の二人もカーテンを開け放ち楽しいおしゃべりが始まり、読書どころではなかった。
特に同年代の形成外科患者の女性は明るく楽しくポジティブで・・そんな彼女にとても救われた。
消灯時間を過ぎても話が弾んでナースからは「もう少し静かにお話して下さい」と注意された。
別のナースからは
「このお部屋は病室じゃなくて・・子供部屋みたいですね〜」と言われるくらいいつも笑い声がする明るい病室だった。

頚椎への照射が始まると不気味な痛みは消え、カラーを付け忘れることがよくあった。
タイミング悪く放射線科のDrに見つかってしまうこともあり
「調子がよさそうですね。でも起きている時は必ずカラーをして下さい。つけないなら横になるように」
と注意を受けた。
シャワーのときもカラーをした方がいいと言うナース。
すぐ近くの手洗いまで歩く時も注意される。
「もし後ろから突然押されたらどうするんですか?首が折れるかもしれませんよ」
と言ってその場でカラーを巻かれた。
ちょっとうるさすぎると思ったけれど、スタッフからは重病人として扱われ、ありがたいのか落ち込むべきなのか、複雑な気持ちだった。


入院5日目。本来の主治医が突然病室までいらっしゃった。



イライラする
 


今朝、高校3年生の息子が起きてこない。


5分おきに声をかけたのに起きてこない。



                             最近また活気づいてきたベランダ


お弁当を作って、洗い物を終えて・・・彼の部屋を覗くと、まだ寝ている。

「調子悪いの?」
「うん・・・」
「どんな風に悪いわけ?」
「・・・だるい・・・」

何故か素直に彼を気遣うことができず
「車で送ってあげるから、支度して!」
と言っても起きる素振りもない。

確かに連日夜遅くまで受験勉強をしている様子は知っている。
つい昨日もそんな生活を心配して、無理をしないように、と言ったばかりだった。
でも、親としては“学校を休む”ことが何故か許せない。
熱が高いわけでもなく、酷い風邪を引いているわけでもなく、“甘え”じゃないの?と思ってしまう。

しかも月曜日の朝なんて、誰だって“だるい”
“だるいから休む”なんて言語道断。
息子の・・彼の・・甘さに、イライラする。
もしかしたら本当に動けない程だるいのかもしれない。
それでも登校する努力をして欲しい。
そして、どうしても辛ければ早退したらいいのに。

彼にイライラするのは今日のことばかりではない。
最近の日常生活においても然り。
夜遅く帰ってくる彼は最後に一人で食事をする。
お風呂に入るのも最後。
先に休んでしまうひよこは彼にいろんなことをお願いしておく。
それは至って簡単なこと。

門燈を切る。
食器乾燥機のスイッチを入れる。
廊下の電気を切る。
お風呂の窓を開けておく。

など・・本当に簡単なことで、小学生だってできるようなことが、できていない。
だからイライラする。
難しい英単語や数式を覚えるよりも大切なことじゃないの?と思っている。
家族が気持ちよく暮らすためのちょっとした気遣い。
そんなことができないばかりか、自分の健康管理すらできていない。
そんな基本的なことができないようでは、受験に成功するとはとても思えない。

そんな彼に育ててしまったのはひよこ自身の責任でもある。
ことに乳がんが再発してからは、彼に対して細かいことは言わないようにしている。
それは・・あとどれだけ残っているかわからない彼との時間を殺伐とした雰囲気にしたくなかったから。
少しでも彼と穏やかな時間を共有したいから。
そんな想いが逆に彼をダメにしてしまっているのかもしれない。






志高く志望校目指して奮闘している彼。
でも・・・何か・・・空回りしてる感じ。

それも彼の人生なのかな?           (・e・)  



転院
 


NHKの連続テレビ小説を観終えて・・・通院。


昨日に引き続きG−CSF注射。
TC治療を始めてから11回目となる注射。
明日も注射。
・・・痛みにも慣れたかな。


日頃からマスクが苦手なひよこは今日もノーマスクで通院したら、親しいナースに叱られてしまった。
「も〜ひよこさん、ダメじゃないですか!これ使って下さい!!」
と無理やりマスクを付けさせられた。
「手洗いとうがい・・しっかりやって下さいよ」
と厳しく指導してくれるナース。
再発したばかりの頃は看護師の声かけが耳障りでしかたなかった。
自分一人が辛いと思っていた頃。
でも今はそんなナースの一言一言がとても嬉しく有難いと思っている。
手渡されたマスクをしてとんぼ返りで自宅へ戻った。


帰宅するとすぐにひよこの帰宅を待っていた主人と義父と一緒に義母の病院へ向かう。
今日は義母の転院の日。
くも膜下出血で緊急入院したまま戻らない義母。
最初の救急病院から数えて3つ目となる新たな病院へ転院が決まった。
意識障害は回復することもなく食事も経管栄養のまま。
発病から約6ヶ月。
厳しい状況が続いている。




朝飲んでおいた鎮痛剤のおかげか・・骨髄が鞭打たれるような痛みは感じない。
でもやはり外を出歩くと疲れる。
病院から持ち帰った洗濯物を洗って干して・・・休憩した。





夕方久しぶりに愛犬の散歩について行った。
乾いた秋の空気が心地よく見渡すいつもの景色に秋の深まりを感じる。
黄金色に色づく稲穂・・熟れたつるレイシ・・彼岸花。
季節を感じることができて、旬を味わうことができて、自分の足であるくことができる。
それだけで十分幸せを感じる。生きている喜びを感じる。






何気ない日々を大切にしたい。         (・e・)


最後の夏
 


息子の高校最後の夏が終わった。


高校3年生の・・一度しかない夏。




息子の通う高校で文化祭・体育祭があった。
夏休みに入るとすぐに準備に取り掛かっていた彼ら。
9月になって公式練習が始まると帰宅時間は益々遅くなってくる。
早朝練習も始まってくる。
何かに取りつかれているかのごとく、一つのことに集中している様は”若さからあふれるエネルギー”を感じることができて、我が息子ながら羨ましかった。


TC3クール目から2週間。
体調もまずまず。
いいタイミングでウィッグも新調できた。
鎮痛剤ロキソニンを1錠飲んで“ウィッグデビュー”した。
あちこちに転移があっても抗がん剤治療のおかげで今があることに感謝。
保護者としてPTA役員としてひよこも来賓席で一日見学させてもらった。
息子の熱い想いを懸けた最後の夏を共有したかった。


例年になく異常なまでの盛り上がりをみせた今年の学校祭。
その場にいると20年前の自分がフラッシュバックする。
20年前と変わらないグラウンドで息子が同じ土を踏みしめていることが不思議な気がしてきた。
主人も・・ひよこも・・娘も・・・この大地で青春の1ページを飾ってきた。
彼もまた見事に綴った。
それは一番濃い1ページであるような気がしている。






狙っていた総合優勝は逃したけれど、完全燃焼できた彼は満足そうだった。


3年間応援合戦に参加した彼。
いろんな涙を流した彼。
先輩と後輩と友人と共に成長した彼。

「オレ、最後がこのクラスで良かった」

疲弊困憊の毎日でも楽しそうにイキイキして、こんな一言をサラッと言う息子を、親バカかもしれないけれど“かっこいい”と思った。
最高の仲間と最後の学校祭を完全燃焼できてよかった。
その仲間たちと次は「受験」という困難にまたスクラムを組んで挑んで欲しい。






気がつけばセンター試験までもう4ヶ月しかない。 
君は気づいているだろうか?                   (・e・)



P.S 「納得できない誤差」の記事に多くのコメントを寄せていただきありがとう
   ございました。
   顔も見せていないひよこに「似合っている」とのお世辞に恐縮しながらも
   大変気をよくしているひよこです。

   気持ちを切り替えてウィッグ生活を楽しもうと思います。