2005年右乳房全摘、局所再発・多発肝転移・多発骨転移・胸膜播種転移治療日記。

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内緒で・・
 


5月で告知からまる6年になる。


6年間、今もお世話になっている病院へ通い続けている。



主治医は5人目となり、これまでの治療経過を充分に把握していただくことも正直ままならない。
公立の総合病院においては、それはもう仕方が無いことと納得している。
患者自身がしっかり記憶して、その都度Dr.へ根気よく話をして理解を求めることに努力するしかない。
Dr.の異動はさておき、看護師さんは告知当初から変わらず今も同じ顔ぶれという人も少なくない。
彼女たちは、主治医よりもむしろ患者の病気を含めたもろもろのことを、を正しく把握できているかもしれない。

ワクチン注射を始めて約2ヶ月。
毎回、看護師さんに術側でない健側の上腕に打っていただいている。
最近になって注射痕が残るようになり、常時2,3箇所ところどころが蒼い。
「ひよこさ〜ん、お尻にしましょうか?腕ばっかりじゃぁ・・・」
「あかちゃん用の細い注射針にしてみましょうか?」
代わる代わるかけてくれる言葉に、患者思いの優しい心遣いを感じ、素直に嬉しいと思う。

昨日は、告知当初からさりげなく、時に厳しく、気遣ってくれる同年代のナースが注射をしてくれた。
会話の流れから入院した時のワクチン注射の話になった。
保険診療と自由診療の兼ね合いを心配していることを伝えると
「内緒で打ってあげるから・・私を呼んで!」
組織に迷惑をかけかねない彼女の立場では許されることではないけれど、さらっと出た言葉がとても嬉しかった。





闘病って孤独だと思っていた時期もあるけれど、いかに周りの人々に支えられているのか、決して一人じゃない、と改めて気づかされた。



でも、内緒は・・まずいよね。          (・e・)



ゾメタ35
 



遅桜を愛でる間もなく、木々の緑が美しい季節になってしまった。


ドセタキセル投与から1週間、ヨレヨレな日々からようやく抜け出せそうな今日は、ゾメタの点滴治療があった。
ドセの21日・ゾメタの28日インターバルは、ちぐはぐな投与間隔で、加えてマーカー検査の採血・白血球検査の採血・ワクチン注射・・と盛りだくさんのメニューを怠ることなくこなすには、日々緊張の毎日だ。
治療予定ばかりのスケジュール帳が手放せない。

「この調子でドセが効いてくれるといいですね。マーカー値を参考に様子を見ながら、6月頃、次の画像を撮りましょう。CTがちょっと楽しみですね」
主治医が言う。

昨年の夏から始めたドセタキセルの治療。
上がり続けるマーカー・・増悪する画像に恐怖し、新たな抗がん剤に希望を託しては裏切られ・・途切れそうな命綱はドセタキセルでようやく繋がった。
もう少し時間稼ぎができるかな・・と思った。
果たして、一時的な奏功が結果的に延命に繋がるのか、今は知る術もないけれど、きっと繋がると信じている。
一日でも長くドセタキセルが効いてくれることを願いながら・・

まだまだ、生きていたい。
抗がん剤の副作用は辛く苦しいけれど、明日がある「今」を生きられることに感謝して、「闘病」という経験を楽しめるような日々を過ごせたらいいなぁ。







命に貪欲になりたい。     (・e・)




5thTXT
 


「下がってますよ!」


診察室のドアを開け、挨拶し、椅子に腰掛けるとすぐ、主治医はおっしゃった。



机の上のパソコンの画面には時系列で腫瘍マーカー値のデータが開かれていた。
『来週の抗がん剤の投与量はマーカー値次第・・』
先週の診察時、そう言って譲らなかった私の生意気で素人的な考えを聞き入れ、今日の診察の準備をして下さっていたことが、何だかとても嬉しかった。
そればかりか、マーカー値も下がっているとおっしゃる。
前回よりもわずかに下がったマーカーCA15−3。
こんな結果は期待していなかったので、さらに嬉しかった。

抗がん剤の投与量については、マーカー値が、横ばい、もしくはたとえコンマ1でも上がっていたなら、レジメン通りの投与量を受け入れる覚悟で、今日は受診した。
「半分の量でもひよこさんの場合、効果があるようですね。しばらくこの量で治療を続けてみましょうか?」
思わぬ提案がされた。
先日は50%の減薬なんてとても受け入れ難いようなことをおっしゃていたが・・主治医にどんな気持ちの変化があったのだろうか。
それにしても、今日は、主治医の度重なる柔軟な対応に好感が持てた。
再発乳がんを生きるわがままな患者に寄り添ってくださる新しい主治医とも、何となく良い関係が築けそうな予感がする。

最後に
「ひよこさんの前向きさが、良い治療効果に繋がっているのかもしれませんね」
と言い添えてくださった。
ドクターマジック!!






奇跡を起こすために、生きようと思う。   (・e・)



気になる視線
 


PTA役員の懇親会があった。


息子の高校入学と同時に役員としてPTA活動に参加させていただき、息子の卒業とともにその役目も終えた。


3年前、再発乳がん治療をしながらPTA活動に参加することに不安や抵抗もあったけれど、友人や周りの役員さんの温かいフォローのお蔭で続けられることができ感謝している。

とは言うものの、タキソテールの治療による体調不良や脱毛の副作用が始まった昨年度の夏以降、申し訳ないと思いながらPTA役員会や理事会等は欠席させていただいていた。
PTA会長さんや顧問の先生からもご心配いただいたが、吐き気等の副作用で辛い時期は会に出席するのは体力的にも無理で、何よりもウィッグで皆さんと顔を合わせることの居心地の悪さは避けたかった。

それでも先日、後任の役員さんも無事選出でき「最後だから」とのお誘いに、勇気を出して懇親会に参加した。
視線が気になる。
久しぶりにお会いした委員さんからは
「・・何か・・雰囲気変わりましたね?」
と言われ苦笑いしてごまかす。
「どうしたの?何か違うじゃん!」
少し親しい知人からはこんな風に突っ込まれ、一刻も早くその場から立ち去りたい気持ちになった。

もうすでに、私の体調不良の原因は、周囲の多くの人には認知されていることなのに、そんな周囲の人の視線を避けたいと思う。
強くないんだなぁ・・
興味津々なその視線に負けそうになるから、その視線から逃れるように生きている。
世間から後ろ指をさされるような覚えは無く、恥じることもないのに、視線を気にして生きている自分がちょっと情けなくなる。

これから先も脱毛は続く。
もはやエンドレスな治療が必須の自分には、脱毛もエンドレス。
いちいち視線を気に病んでいてはやってられない・・







たかが脱毛・・・誇りを持って生きたい。    (・e・)


名残の桜
 



桜の花は散りぎわが美しい。


お天気も下り坂の今日は、東風とともに花びらが乱れ散る。



病院へ向かう途中の道路沿いには、古い桜の木が何本も連なって植えられている。
広げたその枝先は道路まで張り出しているほど大きな桜。
車の前方をひらひらと花びらが舞う。
感動的に美しい。
アスファルトの上に散って落ちる花びらは、まるで降り始めの雪のようにも見える。
花吹雪・・
満開に咲き誇った桜も実にいさぎよく散る。
そんな桜を横目に見ながら、ふと他界した母と最後に見た桜を思い出した。






昼食にパンが食べたくなって、病院の帰りにお気に入りのパン屋さんへ寄った。



さくらあんぱん
今日までの販売です・・なんて添え書きに手が伸びた。
隣接のオープンテラス席で、あの人・・この人・・想いながら、サービスのコーヒーと一緒に味わった。
ちょっと、しょっぱかったな。


さあ、来週は治療がある。
来年も桜を見るために、顔晴る☆       (・e・)



SSMワクチン 2
 


SSMワクチンが届いた。





ワクチン単体の効果はこれといって裏づけできる根拠もなく不明。
しかしながら、ワクチンの副作用と思われるような体調の変化もないので、この先も続けられそうな気がしている。
何につけても飽きっぽい性格だけれど、ワクチンはがんばって続けていきたい。

不幸にも再発乳がん患者ではあるけれど、電気・ガス・水道に不都合がなく、夜は暖かい布団で眠ることができ、3度の食事もいただける。

あり難いことである。   (・e・)



弔いも悔やみも・・
 


空気が冷たい朝。


今日はマーカー値測定の血液検査があった。


診察予約時間の30分前に採血を済ませ、診察を待った。
新しい主治医の二度目の診察。
白血球値も好中球値も問題ないことを確認していただき、来週の化学療法の予約をした。
投与量については、来週判るマーカー値の結果を参考に決めたいことを伝え、快諾していただいた。

「今日はひよこさん・・最後ですから・・」
と先週に比べてかなり余裕のある主治医の診察の様子は、患者にとっても嬉しく穏やかな時間が共有できる。
やはり「めんどくさい」と口から出た言葉は、忙しさが言わせた戯言だったと思いたい。
患者も医者も平常心を保つことが理想なのだけれど・・


先週、哀しくつらいことがあった。
それは、再発乳がん治療中の女性の突然の訃報。
あまりにも突然すぎて・・理解できなかった。
ブログを介して出逢い実際に逢った初めての女性で、ちょっと特別な存在だった。
今も信じられない。
自分のことを心配されることが苦手だった彼女とは、最近少し距離をおいていた。
「ブログを通して大切なことが見つかった」と言っていたのに・・

弔いも悔やみも言葉にしたくない。
今日も同じ空の下で彼女らしく生きていると思いたいから。 
いつまでも・・いつまでも・・あの時の彼女のままで。       (・e・)


めんどくさい
 



「めんどくさいなぁ・・」


昨日の診察時、新しい主治医の口から出た言葉が、今も忘れられない。



それは、一日おきに注射している丸山ワクチンの予約をパソコンに入力する際、一日毎に入力しなければならないと判ったDrがボソッとつぶやくように言った言葉だった。
ただ単純にその作業がシステム上合理的ではなくて、主治医に悪気などないことと想像する。
いや・・そう思いたい。

確かに自由診療という位置づけのワクチン接種は、主治医にしてみればおそらく何の興味もなくただ煩わしいだけなのだろう。
何十人、何百人といるかもしれない主治医の患者の一人が、ワクチンを打とうが打つまいが、どうでも良いことなのかもしれない。
根治は無いと言われながらも「がん」と折り合いをつけ、より現実味を帯びた「死」と向き合いながら、より良いQOLを維持するために試行錯誤している一人の患者の治療は、主治医にとって日常のほんの一コマに過ぎないのかもしれない。


放射線治療をしている時にも、若い技師さんに言われた覚えがある。
「印が消えちゃうと・・めんどくさいことになるから・・・」
印の消えかけた胸壁に、マジックで新たな印を描きながらもう一人の技師さんにそう言った。


「めんどくさい」

そんな自分勝手な一言で片付けられてはたまらない。


こんな話を聞いた。
ある職場の若い人たちが「めんどくさい貯金箱」なるものを作った。
日常的につい「めんどくさい」という言葉を遣ってしまうことを意識的に無くそうという取り組みだと言う。
「めんどくさい」と言ってしまったらペナルティとしていくらかを貯金箱に入れるルールだそうだ。
そこにはお互いを思いやる気持ちや、気持ちよく働ける職場の環境づくりに繋がる前向きさがうかがえる。
いつかきっと素晴らしい職場になるに違いない。


それにしても、命を扱う医療者が患者の治療に際して「めんどくさい」と言うのはいかがなものか。



                                     近所の春


医師の一言は、薬にもなるし凶器にもなりえる。
その一言で、立ち上がることもできれば、傷つくこともある。



患者はその言葉を一生忘れない。     (・e・)


新しい主治医
 


ドセタキセル投与から一週間。


今日は血液検査のため病院へ行ってきた。



採血後、後任の主治医の初めての診察があった。
今日も前回同様、50%減薬して投与するという治療方針についての再確認があった。
「何度も言いますが、抗がん剤の大前提から大きく逸脱しています。そのことをもう一度申し上げておきます・・・」
私も自分の思いを伝えた。
「50%減薬して効果があるかないか・・試してみなければわからない。レジメンから大きく反れた治療であることは充分承知していて、仮に効果が得られなかったとしても納得しています・・」

主治医のおっしゃることも理解できるし、素人考である自分の選択が正しいという確たる自信もない。
まさに手探りの治療だ。
次回の治療は来週のマーカー値をみて、また考えましょうという結論に至った。






ちなみに今日の白血球 4700
ドセ投与1週間後の数値とは思えないほどの白血球値に気を良くしている。
減薬したからなのか・・ワクチン効果なのか・・
何はともあれ、「L」という指摘が無い数値が、素直に嬉しい。  (・e・)


眠れない夜
 


久しぶりに眠れない夜だった。


昨夜、いつもと同じように寝床に入ったのに・・・




12時・・1時・・2時・・何回時報を聞いただろうか?
今日という日が特別な日でもなく、緊張する理由は何もない。
眠れない時はいつも決まってネガティブなことを考えてしまう。
自分の病気のことだったり、子供たちに起こる不幸だったり・・
当然目覚めも悪く身体はだるい。
それでも今日は月曜日、一週間の始まりの日だから気合を入れて家事をこなす。

一段落ついた頃、電話が鳴った。
息子からだった。

「わりと元気にやってます」
息子にしては珍しい時間にかかってくる電話に嫌な予感がしたものの、イキイキした声の調子に安堵する。
大学へ提出する書類のことが用件の電話だった。
あれもこれも・・聞きたいことがいっぱいあるのに、電話ではなんとも歯がゆい。
急いでいる様子に早々と電話を切った。






やわらかな日差しの午後にお昼寝なんて いいかも・・    (・e・)