TC治療4クール目。
強い骨髄抑制もあったけれど、4クール無事に終えられたことが嬉しい。
毎年同じ場所で見かけるセンニチコウさすがに4クールまで来ると、身体がとても弱っているなぁ〜と実感する。
点滴中はベッドで横になっているだけなので気づかないけれど、点滴を終えて歩き始めて自覚する倦怠感。
とにかくだるい。
吐き気も頭痛もあるわけではなくて、ただただ・・・だるい。
会計窓口まで力を振り絞って歩く。
いっそ車椅子を借りてしまおうか?と思ったほど歩く足にも力が入らない。
4クール目にして初めての経験だった。
月末、造影CT検査のオーダーが入った。
なかなか強烈な副作用をもたらしたTC治療は奏功しているだろうか?
と言うより奏功していてくれないと困る。
すぐには回復しない副作用ばかりを置き土産にされては悲しすぎる。
効いているのか効いていないのか、わからない治療を続けるのも辛い。
神様はひよこに何を与えようとしていらっしゃるのだろうか。
点滴治療の前日である昨日、以前勤務していた職場の友人と食事をした。
病気のことも全て打ち明けている数少ない友人の一人。
最後に会ったのはいつだろう・・と思い出せないくらい久しぶりの再会だった。
メールではいつもひよこの体調を気遣ってくれる彼女。
転勤があったりして同じ職場で勤務した期間は短かったけれど、今も変わらず連絡をくれる彼女。
ショッピングにも付き合ってくれて、お洒落な彼女からは刺激を受けることも多い。
そんな彼女も会うなり
「ひよこさん・・太った?」
誰もがそう思うくらいやっぱり自分はいつの間にかふっくらしてしまっているらしい。
「がんが原因というよりも太ってしまったことが引き金になって余病を併発する事の方が恐い」
なんて主人にも言われてしまう始末。
猛暑の夏、食欲は衰えることなく身体はだるく動かない。
自宅に引きこもりゴロゴロしていた毎日ではこうなる結果も当たり前かも。
「摂取カロリーより消費カロリーが少なけりゃ当然太るよ」
息子からは地味に厳しい一言。
なんだかな・・・。 (・e・)
「美味しい!キレイ!楽しい!」
乳がんに罹患してから、こんな感情忘れていたかもしれない。
「カウンセリングの帰りには、ぜひ御主人と食事をして帰ってね。美味しいもの食べるのよ」
とクリニックの付近のH先生お気に入りのお店を紹介してくれたりもした。
季節は夏になっていた。
最初に購入したウィッグはネットの裏の頭頂部が頭皮に似せてあって、とても頭が蒸れて暑かった。
まだ半年くらいしか使っていなかったけれど、ちょっと奮発してもう一つ新調した。
二つ目のウィッグはショートカットで内側がネットのみになっていて、軽くてとても涼しかった。
そして・・ひよこには最初のウィッグより似合う気がした。
そんな些細なことで、出かけることが憂鬱ではなくなり、少し気持ちが楽になった。
丁度いいタイミングで友人からランチの誘いがあった。
ひよこの病気を知らないはずの友人からの誘い。
「気分転換だと思って気楽に行ってみたら?楽しくなかったら途中で帰ってくればいいじゃん」
主人が迷っていたひよこの背中を押してくれた。
ちょっとだけ勇気を出して出かけた。
友人達の視線がとても気になった。
『髪が・・不自然だよな〜。何か・・つっこまれたらどうしよう?』
最初はそんなことばかり考えて気が気ではなかった。
でもそんな不安は見事に払拭された。
『いろんなことは全部わかってるから・・・。気をつかわなくてもいいんだよ』
とでも言わんばかりの友人たちの熱い眼差しを感じた。
いろんな事情を沈黙と言う形で受け入れてくれる彼女たち。
人間って・・友人って・・素晴らしい!温かい!優しい!と思った。
自分一人落ち込んでひがんでいることが恥ずかしかった。
心が少しだけ強くなった。
ママ友と言われる関係だけれど、その後、自分から「乳がん」であることをカミングアウトした。
乳腺外科の治療は化学療法が一段落して画像評価があった。
造影CTを撮った。
所見は「CR」
AC−Tは見事に奏功してくれた。
そして今後1ヶ月ホルモン剤を服用して、もう一度CT・血液検査をする。
本当はとても喜ぶべき結果なのに、心が病んでいたひよこは
「手足に力が入らない。頭が痛い。術側と反対の腋の下も時々痛む・・・」
と主治医に訴えた。
「頭が痛いのであれば脳のCT撮りますか?・・・腋の痛みも、仮に悪いものだとしてもどうしようもないです。今と同じ治療方針であることに変わりはありません。」
過剰に不安を訴えるうつ病のひよこに若干切れ気味な主治医。
そんなことがあった頃、4度目のカウンセリング。
「今日は雰囲気が違いますね」